はじめに
Eメール(メール)は、公私ともに私たちの生活に不可欠なコミュニケーションツールです。特に仕事においては、必須アイテムと言っても過言ではありません。
メールの送受信で最も使われているメールソフトのひとつが、Microsoft社のOutlookでしょう。Word、ExcelなどのOffice製品との親和性も高く、Windowsユーザーの多くが利用しています。
そのOutlookを開いたときに「Outlookデータファイルにアクセスできません」と表示されたエラーが表示されて、メールの送受信をできない時があります。そうなると一大事です!メールを送受信できないということは、業務が滞ることを意味します。
このブログでは、メールサーバーの種類の違い、PSTファイルとOSTファイルの違い、Outlookデータファイルにアクセスできない場合の原因と対処方法、OSTファイルからPSTファイルへの変換方法をご紹介します。
メールサーバーの違い
Outlookなどのメールソフトを使用する時に、いくつか設定する必須項目があります。その中のひとつがメールサーバーの設定です。ここでは3つのメールサーバーの種類の違いを簡単にご説明します。
SMTPサーバー
SMTPサーバーは、メールを送信するときに使用するサーバーです。SMTPはインターネットなどのTCP/IPネットワークで標準的に使用されている通信手順(プロトコル)のひとつで、Simple Mail Transfer Protocolの頭文字で「シンプルなメール送信手順」の意味です。私たちがメールを送信すると、メールの送信先のSMTPサーバーに送るまでを担います。
POPサーバー
POPサーバーは、メールを受信する時に使用するサーバーです。POPもTCP/IPネットワークで標準的に使用されているプロトコルのひとつで、Post Office Protocol の頭文字で「郵便の手順」の意味です。自分宛のメールを受信すると、POPはメールサーバーに保存されたメールを受信者へ送り届ける、つまり受信者のパソコンなどへダウンロードするまでの役割を担います。メールがパソコンにダウンロードされた時点で、POPサーバーからメールは削除されます。
つまり、受信者はダウンロードしたパソコンでしか、メールを閲覧することはできません。
IMAPサーバー
IMAPサーバーは、POPサーバーと同じくメールを受信する時に使用するサーバーです。IMAPも先の2つと同様にインターネットなどのネットワークで標準的に使用されているプロトコルのひとつで、Internet Message Access Protocolの頭文字で「インターネット上のメッセージへのアクセス手順」の意味となります。自分宛のメールを受信すると、IMAPは受信したメールをそのままサーバーに保管します。受信者はサーバーにあるメールを、メールソフトを使って閲覧することになります。POPと違って特定のパソコンにダウンロードすることがなく、メールサーバー上に保管したままなので、同じメールをスマホやパソコンなど複数のデバイスから閲覧・管理することができます。
あなたが使用する受信サーバーの違いによって、Outlookが使用するデータファイルが異なります。次はOutlookでのデータファイルの違いを確認しましょう。
OutlookのPSTファイルとOSTファイルの違い
メールの送信サーバーが1種類なのに対して、受信サーバーは2種類あることをお伝えしました。Outlookで使用するデータファイルは受信サーバーの違いによってPSTかOSTなのかが変わってきます。
PSTファイル
PSTファイルは、受信サーバーがPOPの時に作成されるデータファイルです。PSTとはPersonal Storage Tableの頭文字で「個人用の収納領域」といったところです。パソコン内のシステムの個人用フォルダ内に自動的に作成され、画面上では「個人用フォルダー」と表示されています。メールだけではなく、連絡先、カレンダー、メモなどの自分のアカウントに関連付けられたOutlookのデータを格納・蓄積します。
OSTファイル
OSTファイルは、受信サーバーがIMAPの時またはExchange Serverを使用している時に作成されるデータファイルです。OSTとはOffline Storage Tableの頭文字で「オフラインでの収納領域」の意味となります。PSTファイルと同様、アカウントに関連付けられたOutlookのデータを格納・蓄積します。前述したとおり、IMAPサーバーまたはExchange Serverでは、メールなどのデータはサーバーが保管しています。パソコン内にあるOSTファイルはサーバー側のデータと同期をとっています。オフラインの時はパソコン内のOSTファイルを使用して引き続きOutlookを使用することができます。
Outlook データ ファイル (.pst および .ost) の概要 (マイクロソフトサイトより)
Outlookデータファイルにアクセスできない場合の原因と対処法
ここまでご説明したことを踏まえて、「Outlookデータファイルにアクセスできません」と表示されたエラーが表示されて、Outlookデータファイルにアクセスできない時の原因4つと対処法を2つご紹介します。
原因はいくつか考えられますが、主なものは以下となります。
・Outlookデータファイル(PSTまたはOSTファイル)の破損
・Outlookデータファイル(PSTまたはOSTファイル)にアクセスできない
・Outlookのプロファイルに問題が生じた
・Outlook自体にに障害が起こった
このエラーメッセージが表示された時の対策は主に2つです。それぞれご説明します。
1. Outlookデータファイルを修復する
こちらは今使っているOutlookのデータファイルをScanPST.exeというツールを使って修復する方法です。この手順はマイクロソフトのサイトに紹介されています。
Outlook データ ファイル (.pst および .ost) を修復する (マイクロソフトサイトより)
2. 新しいOutlookのプロファイルを作成する
こちらの方法はデータファイルが修復できなかった場合、新しいプロファイルを作成することによりOutlookを使えるようにします。プロファイルを再作成してそれぞれの設定をリセットすることで、問題が解決することがあります。
ここからはWindows10を例にして具体的な手順をご説明します。
1. Outlookを終了します。コントロールパネル → ユーザーアカウントをクリックします。
2. メール設定ウィンドウが表示されるので「プロファイルの表示」をクリックします。
3. 「Microsoft Outlookの起動時に使用するプロファイル」 で「使用するプロファイルを選択する」のラジオボタンを選択して「OK」をクリックします。
4. Outlookを起動します。「プロファイルの選択」画面が表示されるので「作成」をクリックします。
5. 「新しいプロファイル」画面が表示されるので「プロファイル名」に任意のプロファイル名を入力して「OK」をクリックします。
6. 「アカウントの追加」画面が表示されるので、「名前」「電子メールアドレス」「パスワード」「パスワードの確認入力」をお使いのアカウント情報を入力して「次へ」をクリックします。
注: 企業によっては、情報システム管理者がメールのパスワードなどのアカウント情報を一括管理している場合があります。その場合は担当者にお問い合わせください。
7. アカウントの追加が完了すると「セットアップの完了」ウインドウが表示されるので、「完了」をクリックして終了します。
8. この後Outlookを再起動すると、プロファイルの選択画面が表示されます。この時新しく作成したプロファイル(この場合はtest)を選択して「OK」をクリックします。
9. 新しく再作成されたプロファイルでOutlookが起動します。ここでエラーが解消されているか確認します。今後、常時新しいプロファイルで起動する場合は「オプション」をクリックして「既定のプロファイルとして設定」にチェックマークを入れて「OK」をクリックします。
これで今後Outlookを起動する時は、新たに作成したプロファイルを使用することになります。
OSTファイルをPSTファイルに変換するには?
上記2つの解決策とは別に、OSTファイルをPSTファイルに変換する場合の対処法もご紹介します。
例えば、Exchange Serverに障害がおこったり、同期に問題が起こったり、Outlookのシステム切り替えなどの時に、OSTファイルをPSTファイルに変換する必要があります。ここでは、具体的な手順を2つご紹介します。
1. Outlookのアーカイブ機能を使用する
1. Outlook を開き、データをエクスポートする必要がある OST ファイルを開きます
2. 「ファイル」 タブをクリックし、「情報」 をクリックします。そして「クリーンアップ ツール」 をクリックします。
3. 次に、 「オプション」から「古いアイテムの整理」を選択します。
4. 「古いアイテムの整理」 で表示されるウインドウで、「このフォルダーとすべてのサブフォルダーのアイテムを整理する」を選択します。
5. 次に、PST にエクスポートするフォルダを選択します。(例: 受信トレイ)
「以下の日付より古いアイテムを対象とする」では、指定した日にちよりも古い全てのアイテムがエクスポート対象となります。
6. 右下の「参照」ボタンをクリックして、PSTファイルを保存する場所を指定します。
7. 「OK」ボタン をクリックするとエクスポートの処理が始まります。エクスポートするファイルをPSTに指定して、ダイアログボックスに沿ってプロセスを進めて完了です。
注:この方法では連絡先をアーカイブできませんので、ご注意ください。
2. Stellar Converter for OSTを使用する
Outlookのアーカイブ機能では、一部PSTファイルにエクスポートできない機能があります。すべてのOSTファイルをPSTファイルにエクスポートするには、専門の変換ソフトを使う必要があります。Stellar Converter for OSTは、Microsoft MVPに信頼されているソフトで、メール、添付ファイル、連絡先、カレンダーなどのすべてのメールボックスのコンポーネントを100%の精度で変換します。
1. Stellar Converter for OSTをダウンロードします。
Stellar Converter for OSTのダウンロード (クリックするとすぐにダウンロードが開始します)
2. 「構成済みプロファイルの一覧表示」ウインドウが表示されるので、「プロファイル一覧」ボタンをクリックして、OSTファイルをアップロードします。
3. OSTファイルがアップロードされたら「変換」ボタンをクリックして、スキャンプロセスを開始します。
4. 表示されるダイアログボックスで、「名前をつけて保存」 枠の 「PST」 オプションを選択して「次へ」をクリックします。
5. 「保存先を選択」ウインドウが表示されるので「宛先パスを選択:」枠で「参照」をクリックして、 PST ファイルを保存する場所を指定、「OK」をクリックします。
注:ExchangeのOSTファイルをPST ファイルに保存する以外にも、オフラインファイルを MSG、HTML、EML、PDF、RTF などの複数のファイル形式に変換できます。これらのファイルは、Windows と Mac の両方のオペレーティング システムのデスクトップ ベースおよび Web ベースのメールクライアントからアクセスできます。
6. もしフィルタを適用する必要があれば、このウインドウでチェックマークを入れて選択し「適用」をクリックします。なければそのまま「キャンセル」をクリックします。
7.「保存が完了しました」ウインドウが表示されるので「OK」をクリックして終了します。
まとめ
普段当たり前に使っているOutlookを開いたときに「Outlookデータファイルにアクセスできません」と表示されたエラーが表示されると、焦ってしまいます。業務が進まないばかりか、パソコンかOutlookに何かエラーが起こって大変なことになったと思うかもしれません。
リモートワークやワーケーションなどが一般的となり、オフィスで仕事をする時代から、さまざまな場所でさまざまな働き方をする事態に移行しつつあります。そのような中でもメールサーバーの仕組みや、Outlookのデータファイルの種類の違い、問題が起こった時の対処方法などを知ることで、よく起こるエラーの意味が分かり、対策法を知っていれば、落ち着いて対処することが可能です。
特にOSTファイルからPSTファイルへの変換などは、非常に難しそうで避けたくなる人が多いでしょう。しかし、Stellar Converter for OSTは、Microsoft MVPに信頼されているソフトで、安心安全にOSTのコンポーネントを変換できます。
Stellar Converter for OSTの無料ダウンロード版では、変換後のファイルのプレビューや、フォルダごとに20件までの保存が可能です。
Stellar Converter for OSTの詳しい情報はこちらをご覧ください。
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